私のお気に入り

 音楽CD

 言葉

 MONO

音楽CD(夜の器楽・室内楽入門)

実は私はつい最近までCDプレイヤーを持っていなかったので、CDもあまり持っていないのです。学生時代にレコードは沢山聴いたり、いわゆる名曲喫茶なるものに入り浸っていたものですが、色々なジャンルの曲を幅広く聴くと言うより、毎日フルトヴェングラーの指揮のブラームスを、モノラルで聞いて過ごすというような偏った体験しかないので、一般にお薦めの、なんて言うことは出来ません。
 ただ、これまでクラシックに縁がなかったけれど、たまたまうちで生演奏を聴いてそれから興味を持って室内楽を聞いてみたいというお客さんがいたので、そんな風な人のために、(これが一番良い演奏というのではないでしょうが、でも良いと思う)何枚かご紹介します。

 仕事とかで疲れた夜、たまには静かに音楽に浸ってみたい・・・
 そんなときに聴く曲と言うことで選びました。

 ジョン・ルイス(ピアノ)
  バッハ:プレリュードとフーガ Vol.1

これは、MJQ(モダンジャズカルテット)のルイスが愛するバッハを彼流にアレンジした4枚もののうちの最初のものです。

PHLIPS824 381-2

 バッハ:ゴールドベルク変奏曲
    グレン・グールド(ピアノ)

若くして亡くなったグールドの代表的な名演。

SONY SRCR 9239

 バッハ:平均率クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ第1巻

同じくグールドの演奏

SRCR 9496〜7

 ブラームス:クラリネット5重奏曲
     ウィーン室内合奏団、プリンツ(クラリネット)

ブラームスは創作意欲の衰えた晩年、クラリネットの名手に出会い霊感を得たように次々とクラリネットの名曲を作り出しました。どれも素晴らしい、静かな夜にぴったりの名曲ばかりですが、とりあえず一番有名なものを。それにしてもブラームスの室内楽はどれも素晴らしい。(何しろチェロは特別扱いでおいしい旋律を弾きますから)

DENON COCO-6789

 ショパン:夜想曲選集
    アシュケナージ(ピアノ)

夜静かに聴くと言えば、これを入れないわけにはいかないでしょう。

LONDON POCL-5035

 ピアソラへのオマージュ
    クレーメル(ヴァイオリン)ほか

この数年、タンゴがブームになっています。そのタンゴ音楽の雄ピアソラの名曲を、現代ヴァイオリン界の異才クレーメルが、魅力たっぷりに聴かせます。バンドネオンの音も美しい録音。

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私の好きな言葉

 「世界は改良されるために存在しているのではない。君たちもまた改良されるために存在しているのではない。君たちは、自分自身であるために存在しているのだ。世界が君たちの存在の響きと音と影とだけ豊かさを増すために君たちは存在しているのだ。
 君自身であれ!そうすれば世界は豊かで美しい!」
           (ヘルマン・ヘッセ「ツァラツストラの再来」より)

 「空手還郷(くうしゅげんきょう)」 (道元禅師)

 これは、好きな言葉というのではありません。大学を卒業するとき、お世話になった先生から色紙に書いていただいた言葉です。おそらく、浮わずったところが沢山ある私を戒めるために書いて下さったのでしょう。以来、時々思い出しては「正気であること」「真理に顔を向けること」を肝に銘じています。
 とうてい、私ごときが解説できるようなことではありませんが、言葉の意味だけでも。資料を無くしたので、記憶に残っている範囲ですが。
 これは、弟子を前に、己が来し方を振り返り語った言葉です。仏教の本質を求めて中国にわたり、求めるものが得られず、然し最後に師如浄(にょじょう)と出会い、「一生参学の大事、ここに已んぬ」と感じ、日本に戻ってきた。その時の心境をこう語っているのです。(他の立身出世のために中国にわたり沢山の教典やら何やらを持ってかえってきた沢山の人と違って)ただ「眼横鼻直なること(眼が横にあり、鼻が真っ直ぐであること=ごく当たり前のこと)を認得して」「すなわちすなわち空手にして郷に還る(手ぶらで還ってきた)」

 人は無一物でこの世に生まれ、無一物でこの世と別れを告げる、良いものにしろ悪いもの、富にしろ栄光にしろ、美醜や才能、能力・・・にしろ、自分が何か持っていると思うべきではないのかも。
 一方で、だから、何もないものが生き、社会で暮らしていける、なにがしかのことがあるとすれば、それは全て、両親や、友人、周りの人から愛情とともに受け取ったものである。その全てをお返しして空っぽになって死んでいくのが務めだとも思える。

 私が学生時代に愛読し、その後も時々はぱらぱらっと読んでみる、先生が学生向きに書いた本をご紹介しておきましょう。大変優しい言葉で、様々なことが平易に書かれていて、それでいて知識ではなく考えることを教えている素晴らしい本です。

 ■ 川原栄峰著 「哲学入門以前」 (南窓社 昭和42年初版)


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